今月のおすすめ食育絵本

2021.02.22 食育

だんだん暖かくなってきましたね。春が近づくにつれて、野山にはおいしいものも顔を出し始めます♪

今月は、春の食材をテーマに食育絵本をご紹介したいと思います。

**「もぐらばす」**

佐藤雅彦・うちのますみ (偕成社)

この絵本は、NHK教育「ピタゴラスイッチ」でおなじみの佐藤雅彦さんとうちのますみさんが手がけた絵本です。

素朴で柔らかなタッチの絵は、テレビを通して見慣れている子供も多いかと思います。

この絵本で登場する春の食材は「タケノコ」

お話の舞台は、地面の下にある人間には知られていない町。その町中を巡回しているバス「もぐらばす」です。

いつものようにバスを走らせていたもぐらの運転手さんが、道の真ん中に大きなタケノコが顔を出しているのを発見します。

「あさ とおったときには なかったのだが…」

とても育つのがはやいタケノコの特性までさりげなく盛り込まれているのは、さすがだなという感じですね。

大きなタケノコは、建設会社のもぐらたちによって撤去され、町のスーパーマーケットで無料配布されることに。

町の動物たちはみんな喜んで持ち帰り、いろいろなタケノコ料理を作って春の味を楽しむというストーリーです。

今はタケノコの水煮などがあるので、一年中タケノコを食べることができますが、掘り出したばかりの生のタケノコは香りや風味、食感がすばらしく、春先のこの時期にしか味わえないおいしさです。

手間はかかりますが、今年の春は、地下の町の動物たちのように、とれたてのタケノコを味わってみるのもいいかもしれませんね。

**「よもぎだんご」**

さとうわきこ(福音館書店)

この絵本は、ベストセラー絵本「ばばばあちゃんのおはなし」シリーズの一冊です。

ばばばあちゃんシリーズは、いつも元気いっぱいのばばばあちゃんが子供たちと一緒に季節や年中行事などにあわせておいしいものを作って食べるストーリー。

3~4歳位からの読み聞かせにぴったりの絵本なのですが、お料理1つにしても実に分かりやすく、その作り方からちょっとしたコツまで、興味深い内容で描かれているため、大人も楽しくなってくる絵本です。

その中の1冊、「よもぎだんご」は、庭で泥団子を作って遊んでいた子供達を見たばばばあちゃんが、子供達を誘って春の野原によもぎを摘みに出かけるところからはじまります。

春の野原には、よもぎ以外にも春の野草がいっぱいです。かじると酸っぱいいたどり、すずめのてっぽうの草笛、シャベルで掘らないと取れないのびる、しゃきしゃきしておいしいせり…子供達はばばばあちゃんに教えてもらいながら、春の野草を集めていきます。

みんなで摘んだ野草を持ち帰っていよいよお料理開始です。「おいしさ100パーセント」のよもぎだんごをじはじめ、つくしやせりもお料理します。

できあがったよもぎだんごを囲んでパーティーを始めると、いつの間にかばばばあちゃんが素敵なお洋服に着替えています…。

実は、この日はばばばあちゃんの誕生日‼
みんなで一緒につくったよもぎだんごは最高の誕生日プレゼントになりました。

ばばばあちゃんの絵本は、お料理の手順も分かりやすく描いてあるので、大人でも楽しい絵本だと思います。

私自身、田舎育ちということもあり、この絵本に出てくる子供たちのように、春先はよくよもぎ摘みをしたものです。

よもぎなどは、まさに「自然の恵み」ではありますが、近年では、道端に生えている野草を口にするという機会はほとんどないと思います。

しかし、今でも日当たりの良い野原などにはよもぎが生えている場所も多いので、お散歩ついでにでも、ちょっと摘み取って香りだけでも嗅いでみてください。

ばばばあちゃんと子供たちの作ったよもぎだんごの香りやおいしさが伝わってくるかもしれませんよ。

読んでいるとどこか懐かしく、摘みたてのよもぎの香りが漂ってくるような絵本です。