子どもはほめられると進んでお手伝いをするようになるってホント?〜オペラント条件付け〜

2021.01.20 赤ちゃんのあれこれ

子どもには、お手伝いや宿題を自分からしてほしいけど、なかなかしてもらえなかったり続かなかったりすることがありますね。 どうしたら無理なくお手伝いをしてもらえるか、言わなくても宿題に取り掛かるか、心理学の知識を利用して考えてみましょう。

1. スキナーボックス

スキナーという研究者は、人や動物が色々な行動を身につけるしくみをオペラント条件づけによって理論化しました。スキナーは、スキナーボックスと呼ばれる実験装置を作り、ネズミややハト、サルなどで実験を行いました。

ネズミを例に説明しましょう。まず、この装置の中に空腹のネズミを入れます。この装置には壁からレバーが1本突き出ているだけです。ネズミはこの箱の中を自由に動き回ることができ、色々なオペラント行動(自発的行動)をとることができます。例えば、匂いを嗅ぐ、歩き回る、レバーに触れる、毛づくろいをするなどです。

ある時、ネズミが偶然にレバーに触れてそれを下まで押したとすると、餌皿に餌が出るしくみとなっています。ネズミは餌を食べることができ、これが報酬となります。そのうちに、ネズミは何度もレバーを押し下げてて、餌を食べるようになります。餌(報酬)が、レバーを押し下げる行動を繰り返させたのです。

人間や動物がとる行動の特徴は、外からの刺激を受けなくても自然に様々な行動が自発的にとれます。その行動の後に報酬などの人や動物にとって望ましいできごとや良い結果が現れると、その行動が繰り返し行われるのです。この過程をオペラント条件づけと呼びます。

2. 子どもにとってのオペラント条件づけ

はじめに、強化と弱化の原理を説明しましょう。

【強化の原理】

行動することは何か良いことが起こったり、悪いことがなくなったりすると、その行動は繰り返されます。それを強化の原理といいます。

【弱化の原理】

行動することで、何か悪いことが起こったり良いことがなくなったりすると、その行動は繰り返されなくなる。それを弱化の原理といいます。

子どもにとって良いことは、例えば、「おやつがもらえる」「お小遣いがもらえる」、ほめられることなど、子どもが嬉しいと感じることやもらったら嬉しい物をもらうことです。

反対に、悪いことは「ぶたれる」「叱られる」「友達から嫌われる」など、子どもが嬉しくないことや起こってほしくないこと、嬉しくないものをもらうことなどを指します。

このように、ほめるとその行動は繰り返される(強化の原理)と叱ると行動は繰り返されなくなる(弱化の原理)があるのです。これは、子どもだけでなく大人にもあてはまります。

3. 強化と弱化の原理が働く

子どもが家のお手伝いをしたら、お小遣いがもらえたりほめられたりすると、子どもにとっては嬉しいことなので、「またお手伝いをしよう」と考え、その行動が増えるでしょう。勉強しないため小言を言われた場合、「小言を避けるために勉強をすること」も強化の原理が働いたといえます。

反対に、スーパーでうるさく騒いだから親に強く叱られたという場合や、いたずらをしたから今日はゲームは無しとなることなど、子どもにとっては嫌なことなので、その行動は減る可能性が高いですね。 これらは弱化の原理が働いたのです。

まとめ

ここで説明したことは、普段何気なくやっていることかもしれませんが、行動の一つひとつには、心理的な要素が含まれているのですね。子どもをほめて、良い生活習慣や行動を身につける助けとしてみてくださいね。 まずは、子どもが好きなことや嬉しいと思うことを探すところから始めてみましょう。

【参考文献】

「図解雑学 発達心理学」山下富美代 編著 ナツメ社