気になる栄養ワード「フードバンク」

2020.08.10 食育

新型コロナウイルス対策として全国の公立小中高が一斉休業となったことは記憶に新しいと思います。

それに伴い、給食で使われるはずだった食材が大量に余ってしまい、その食材廃棄も大きな課題となりました。

その際に活躍したのが全国のフードバンク。

米やパン、牛乳や野菜類、果物類など余ってしまった食材を福祉施設などにつないで利用してもらうことで、給食食材の廃棄を可能な限り抑えることに貢献しました。

今回は、今後さらに活動が広がっていくであろうフードバンクについて解説していきます。

**フードバンクとは?**

フードバンクでは、品質に問題のない食品を集め、それらの食品を必要としている施設や世帯に無償で提供するのを基本とした活動。

フードバンクがいち早くスタートしたのはアメリカで、1967年から始まり、現在では200以上の団体が活動しているそうです。

他にも、世界中の国々でこの活動は展開されています。

日本では2000年頃からフードバンクの活動が始まりましたが、一般への認知度はまだまだ低いようです。

**日本のフードバンク活動**

まず、フードバンクでは、食品製造業者や小売店、飲食店、農家、一般家庭などから、品質に問題のない食品を寄付してもらいます。

そうして集まった食品を必要としている施設や世帯とマッチングして無償で提供するのがフードバンクの活動です。

現在国内では77団体がこうした活動を行っているとされています。

**フードバンクと食品ロス**

食品ロス」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

食品ロスとは、まだ十分食べられるにも関わらず廃棄されている食品のことです。

日本では、年間646万トンもの食べられる食品が廃棄されています。

この量は、食糧難に苦しむ国々へ向けた世界全体からの食糧支援量の2倍にあたる量でもあります。

その背景には食の安全性を過剰に追及してしまったことも関係しているといわれています。

こうした食品を少しでも減らし、必要としている所に無償で提供することもフードバンクの活動の1つです。

**フードバンクと貧困問題**

一見豊かに見える日本ですが、実は諸外国に比べて貧困問題が深刻となりつつあるのが現状です。

現在貧困家庭で暮らす子供は280万人に上り、子供の7人に1人が貧困状態とされています。

フードバンクでは、貧困家庭で十分な食事を摂ることができない子供たちへの食糧支援をすることで、子供の成長を支援するという役割も担っています。

**フードバンク活動に参加するには**

フードバンクに食品を寄贈できるのは企業や農家だけではありません。一般家庭からの寄贈を受け付けている場合も。

その活動として「フードドライブ」があります。

☑フード=食べ物、ドライブ=活動・運動という意味。つまり、「食べ物を集める運動」ということです。

行政窓口や公共施設、社会福祉事務所などに食品の回収ボックスを設置している地域もあるようですので、チェックしてみてください。

**「もったいない」精神を伝える**

多くの子供たちの周りには食べ物があふれていて、好き嫌いや食べ残しなどに対して深く考える機会が少なくなっています。

一方では、日本の中にも毎日の食事がままならない子供がたくさんいるのも事実。

食事がままならない子供たちがいるのに、日本ではたくさんの食べ物が捨てられているのも事実。

こうした現実にまずは大人が関心をもち、自分にできることで、食品ロスや子供の貧困問題に関わることができればよいのではないでしょうか。

そうした姿勢が子供たちに伝わって、子供たち自身が食品ロスや子供の貧困問題について考えて行動できるようになれば、この問題も将来的によい方向に向かうような気がします。

その1つがフードバンクだと思います。

日本には「もったいない」という素晴らしい精神があります。

「食品ロス」「子供の貧困」をなくすためにフードバンクという活動を知ることで「もったいない」精神を子供たちにも伝えていきたいものです。