子どもはギャング集団を作る?

2021.02.03 赤ちゃんのあれこれ

子どもは、子ども同士の関わりの中で社会のルールのもととなることや人との付き合い方を学びます。子どもはどのように友達を作り、その関係を深めていくのでしょうか。今日は、小学校高学年の子どものお話です。 

 

1. ギャング集団とは? 

小学校低学年の子どもは、友人との関係の結びつきが弱く、関係は変わりやすいとされています。一方、 小学校高学年になると、子どもは「ギャング集団」を作り、その中で社会に適応するために様々なことを学んでいくといわれています。学年が進むと、次第に友人同士の結びつきが強くなり、交友関係が安定してきます。その友人との付き合いの期間も長くなります。 

 

小学校5、6年生になると、ほぼ同じ年齢の子どもたちがメンバーとなり、まとまった閉鎖的な集団を作るようになります。このような集団を「ギャング集団」といいます。この「ギャング」は、暴力団などの社会悪という意味ではありません。 

 

子どもたちの仲間意識が発達し、今まで以上に友人との関わりを求めたり、遊ぶことに喜びを覚えたりすることを求めるようになります。ギャング集団は、家族以上に大きな影響を持つこともあり、大人から干渉されない自分たちだけの集団であることが期待されています。 しかし、この集団は青年期になると消えていきます。 

 

 

2. ギャング集団の特徴 

ギャング集団の特徴は、まとまりが良く閉鎖的であることから「われわれ」という感情を強く持っていることです。そのため、「われわれ」と「われわれ以外の彼ら」を区別するようになるので す。ギャング集団の中では、自分たちだけで活動の計画を考えて行動します。自分たちで決めたことを自分たちで行い、その役割をそれぞれが担います。その役割を果たすことによって、メンバーから認められて誇りを持つようになります。 

 

このような集団での活動によって、仲間への協力や同情、責任感や義務感、忠誠などの社会性が養われていくといわれています。それによって、集団生活を行うすべを知り、将来の社会への適応力を備えるのです。ときにこのような集団は、反社会的な行動をするという危険性もありますが、子どもの発達にとって必要な過程であるとされています。 

 

3. 最近のギャング集団 

最近では、交友関係を作ることが難しい青年の増加要因のひとつに、ギャング集団を経験していないということが指摘されています。友人たちと遊ぶためには、「遊びたいという欲求」「遊ぶ時間」「遊ぶ仲間」「遊び場」が必要となります。 

 

しかし、今では塾や習い事で遊ぶ仲間や時間がなく、公園などの「遊び場」が少なくなり、ゲームなどで個人で遊ぶことが多くなって「遊びたいという欲求」があまり見られなくなっています。このような状態によって、ギャング集団が作られにくい環境となっていて、将来の社会への適応能力が育まれにくくなっているのです。 

 

 

4. 親としての見守り 

この頃の子どもは、なんでも親に頼っていた幼少の頃の子どもの様子とは違い、友人との行動を楽しみ、ときには反抗的な態度も見られます。 子どもが「ギャング集団」を楽しんでる時期には、親は危なくないように、人としての道を外さないように見守っていてあげましょう。 

 

一人でぽつんと残されているような子どもの場合は、注意しましょう。仲間はずれやいじめなどの対象になっている場合は、大人の支援が必要です。 

 

 

まとめ 

小学校高学年では、「ギャング集団」を作り、団結し一緒に行動するようになり、集団の中でそれぞれの役割を担います。社会への適応能力や人との付き合い方の基礎となります。現代では、そのようなギャング集団が作られにくい環境にあって、対人関係がうまくいかない人がいるといわれています。子どもがギャング集団を作る時期に差し掛かった場合は、道を外さないように親は見守ってあげましょう。 

【参考文献】 

「図解雑学 発達心理学」山下富美代 編著 ナツメ社  

 

 

 

 

 

 

 

 

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