気になる栄養ワード「遺伝子組み換え」
2020.11.23 食育「遺伝子組み換えでない」とか「遺伝子組み換え不分別」とか…買い物をしていて、気になった事があるママもいるのではないでしょうか?
何となく組み換えていないほうが良さそうな感じはしますが、それが果たして良いのか悪いのか判断できるかといわれるとどうでしょう…
子供たちが口にするものは、きちんとした知識で、安心・安全な食べ物を選んであげたいものですよね。
そこで、今回の気になる栄養ワードは、 「遺伝子組み換え食品」について解説していきたいと思います。
*「遺伝子組み換え」とは?*
私たちが口にしている農作物は、長い年月をかけて、育てやすさやおいしさなどのニーズに合わせた品種改良が繰り返されてきました。
そうした品種改良技術の1つとして生み出されたのが「遺伝子組み換え」という品種改良技術なのです。
遺伝子組み換えと従来の品種改良の大きな違いは、農作物の遺伝子そのものに改良を加えるという点。
種の違い関係なく、有用な遺伝子を取り出し、組み込むことにより、自然では交配が起こり得ない掛け合わせが可能になりました。
その結果、従来の品種改良では不可能だった性質を持つ農作物を作ることが可能になったのです。
例えば、害虫に食べられにくいトウモロコシや除草剤に負けない大豆など。
収穫量の増加や農薬の減少、除草作業による土壌の悪化防止など、食糧問題や環境保全でのメリットが大きいのも特徴です。
ただし、このようなメリットがあっても、健康や生態系に対して問題があったのでは元も子もありません。
では、遺伝子組み換えの安全性はどうなっているのでしょうか?
*遺伝子組み換えの安全性*
遺伝子組み換えされた農作物を食品として利用する場合、日本では「食品衛生法」と「食品安全基本法」という法律に沿って扱うルールとなっています。
これらの法の下、科学的評価を行い、確実に問題のないもののみが、消費者に流通しているのです。
*遺伝子組み換え8品目*
現在、日本で認められている遺伝子組み換えは、「じゃがいも・大豆・甜菜・トウモロコシ・菜種・綿実・アルファルファ・パパイヤ」の全8品目。
これらを原材料としている加工食品には、「遺伝子組み換え」や「遺伝子組み換え不分別」といった表示が義務付けられています。
*「遺伝子組み換え」表示の例外*
例え遺伝子組み換えの原材料を使っていても、その旨を表示しなくてもよい場合もあります。
例えば、菜種を使った食用油や、大豆を使ったしょうゆなどは、遺伝子組み換えの原材料のタンパク質が、加工によって検出されないレベルになっています。
つまり、結果的に遺伝子組み換えをしていない原材料を使った場合と差異がなくなるため、表示しなくてもよいことになっているのです。
また、遺伝子組み換えの原材料を使っていたとしても、それが主原料でなければ表示義務はありません。
*8品目以外での表記は違法*
遺伝子組み換えが認められている8品目以外の農作物では、「遺伝子組み換えでない」という表示は違法とされています。
例えば、小麦を使った加工食品の場合、
「小麦(遺伝子組み換えでない)」
という表示はあり得ません。
そもそも小麦は遺伝子組み換えが認められていない農作物ですから、こうした表示があると、あたかも優良であるかのような誤認を生じさせてしまうためです。
*遺伝子組み換え食品は良いor悪い*
ここまで、遺伝子組み換えについて解説してきましたが、結局のところ、良いのか悪いのかが気になりますよね。
結論としては、遺伝子組み換えでない食品と同じように利用して差し支えありません。
遺伝子組み換え食品は、きちんとした科学的評価や検査をクリアしたもののみが流通しており、健康を害するリスクも遺伝子組み換えでない食品とほぼ差異はみられていません。
そのため、子供が口にする食品についても、必要以上に「遺伝子組み換え」という表示に囚われることはないでしょう。
これから先、世界規模の食糧問題や環境問題の解決のために、遺伝子組み換え以外にも、新たな品種改良技術が開発されるかもしれません。
そうした時に、ただ何となく避けるのではなく、きちんと知識を身につけ、自分の目で食品の良し悪しを見極めることが大切になってきます。
そうした観点から、子供がある程度理解できる年齢になった時には、こうした情報を大人がきちんと教えてあげることも必要です。
食物は命を作る源です。子供たちが自分の力で食を選択する力を養うためにも、まずはママをはじめとした大人が正しい知識をもって食を選択していきましょう。