今月のおすすめ食育絵本【11月】
2020.11.02 食育「ちゃんと『いただきます』した?」
「『ごちそうさま』は?」
子供のいる食卓では、おそらくほとんどのママが一度はこの言葉を使ったことがあるのではないでしょうか?
もっと言えば、一度や二度のことではないのでは?
「どうしていつも同じこと言わせるのかしら…」
と頭を悩ませているママも少なくないと思います。
食事の時に「いただきます」「ごちそうさま」のような挨拶をするのは、日本とその他数か国しかないそうです。
しかも、日本以外の国では、「先に食べます」「先に食べ終わります」というような、食事の相手へ向けての挨拶なんだとか。
「いただきます」には、食材となってくれた動植物、食材がごはんとなって食卓にあがるまでに関わってくれた人々への感謝の気持ちが込められています。
そして、「ごちそうさま」には、「おいしく食べさせてもらいました。今日も命をつながせてくれてありがとう」という感謝の気持ちが込められています。
毎日何気なく言っている挨拶かもしれませんが、その中に込められている意味はとても大きいものなのです。
つい、「いただきま」すを忘れてしまう子供でも、こうした意味を知れば、「ママが言いなさいっていうから…」というような受け身的な形ではなく、自然と心からの言葉が出るようになってくると思います。
そこで、今月は「いただきます」「ごちそうさま」をテーマにした食育絵本をご紹介していきたいと思います。
年齢別にご紹介していきますので、参考にしてみてください!!
◎0歳から2歳くらい
■「いただきますあそび」きむらゆういち・偕成社
色々な動物やゆうちゃん、お母さんが元気な声で「いただきまーす」といって、サンドイッチやりんごなど、おいしそうな食べ物をモグモグ…。
最後には大きな大きな怪獣さんが出てきて…。
この絵本は、仕掛け絵本になっています。
それぞれのページの、お皿やコップの部分をめくると、「いただきまーす」といって食べ物を口に運ぶ絵に変わります。
0歳から2歳頃では、まだ意味を教えるには少し早いので、「いただきます」「ごちそうさま」はごはんを食べる時にいう言葉なんだということを理解することがポイントです。
まだ、お話ができない時期でも、ママが楽しそうに読み聞かせすることで、小さいうちから「いただきます」「ごちそうさま」という言葉に慣れ親しむことができます。
◎3歳から5歳くらい
■「いただきまーす!」二宮由紀子・解放出版社
おいしそうな目玉焼きハンバーグが食卓にあがっています。
でも…
もし、お皿の上に生きたままの牛がドーンと乗っかっていたらどうする??
牛を殺して食べちゃうってなんかかわいそう…
牛は、お肉にしてくれる人がいるからハンバーグになって、食べることができる。
野菜だって畑で育ててくれる人がいるから食べることができる。
この絵本ではまず、生き物はみんな何かを食べていかなければ生きていけないことに触れています。
そこから、肉や魚、野菜…どれも命あるものであり、それを食べ物にするには、たくさんの人たちが関わっていることまで踏み込んでいます。
毎日のごはんには、多くの命やたくさんの人たちが関わっているということが、子供にも分かりやすい言葉で表現されていて、「いただきます」の意味が理解しやすい一冊です。
3歳から5歳くらいになると、感情や思考がより豊かになってきています。
「牛さんかわいそう」「食べちゃダメ」などと言う子供もいることでしょう。
そういった場合には、「お肉になってくれた牛さんのためにも、お残ししないように大切にいただこうね。」など、優しく言葉がけをしながら読み聞かせしてあげましょう。
◎小学生以上
■「しんでくれた」谷川俊太郎・佼成出版社
ちょっと衝撃的なタイトルですが、これは、詩人の谷川俊太郎の詩が題材となっている絵本です。
表紙裏には、著者の言葉でこのように記されています。
「いきものは いきものをたべなければ いきていけません。にんげんは ほかのいきもののおかげで いきているのです。」
この絵本では、牛や豚、鶏、魚などが、食材となってくれたことを「しんでくれた」と表現しています。
食材への感謝を強めのインパクトで表現している絵本でありながら、同時に命の尊さにも踏み込んでいるのが大きな特徴です。
絵本の後半、食材になった動物の話から、大きく飛んで「ぼくはしんでやれない」という一説に…。
ここも衝撃を受けますが、 「人間は他の生き物の命をもらって生きている」という命のつながりや、その上にある「生きる責任」を強く表現した詩になっています。
この絵本では、直接的に「いただきます」「ごちそうさま」には触れていませんが、食材となり自分の命を支えてくれている命があることがよく理解できるため、食事の挨拶について考えるきっかけになることでしょう。
低学年では少し難しいかもしれませんが、中学年以降の子供では、詩の意味が理解できると思います。
日本特有の素晴らしい精神である「いただきます」「ごちそうさま」、大切にしていきたいものですね。