②幼児モンテッソーリの感覚教育   

2020.09.17 モンテッソーリ教育

今回は、モンテッソーリの感覚教育について、より詳しく述べていきます。 

マリア・モンテッソーリが幼児期の感覚器官を重視する理由として以下の事柄が挙げられます。 

☑1視覚、触覚、聴覚、味覚、嗅覚などすべての感覚器官のもつ刺激を鋭敏にし、それらの感覚器官を区別する能力を身に着けること。それによって対象に対して正しく知覚するため。 
☑2手を使って手先の器用さを訓練し教具と色々な道具を使用して上手に作業をすることができるようにするため。 
☑3正しい観察に基づいた概念と知識を習得し、知性を発達させるため。 
☑4集中作業の習得を養うため。鋭敏な感覚と手によって教具を使用して作業をする。実物を観察する場合に全注意をその対象に集中して、作業や観察する習慣を身に着けるために。 
☑5人格形成の基礎作りのために。感覚の働きが正常なことは正しい概念形成を正しい価値判断が出来る。 
☑6真の知識の育成のため。書物などから多量の知識を習得するよりも実物を自分の感覚によって習得させることが重要である。
☑7感覚器官の早期訓練のため。感覚の発達の最盛期は幼児期である。

 

4番に於いては藤井七段が目覚ましい活躍を見せたことの根底になるのではないでしょうか。ちなみに藤井七段はモンテッソーリ教育出身です。 

実際の感覚教具をいくつか紹介します。 

茶色の階段 

対象年齢・・・2歳半~3歳 

教具・・・・・木製色の直方体10個で長さはすべて20cm。切断面は1cmから10cm 

提供法・・・・じゅうたんの上に直方体を細いものから一本ずつ右手で握って運び散らす。 

      1一番太い直方体を探し、置く。 

      2残りの中から順に一番太い直方体を選ぶ 

      3両サイドが全く同じであることを強調する 

      4階段を作る 

子どもの活動・・・提供通りに行う 

使用する言葉・・・太い、細い 

目的・・・・・・・寸法の漸次性を視覚で識別する。太い、細いという言葉と実際を理解する。数学的頭脳の育成。観察力を養う。美的感覚の獲得。 

 

☆色付き円柱 

対象年齢・・・4歳半~5歳半 

教具・・・・・木製4組の円柱ブロック。色付き。 

提供法・・・・1一つの箱を机に運び、円柱を出して散らし、寸法の順に並べる。 

       2箱を二つ出して散らし、並べて比較する 

       3箱を三つ出して散らし、並べて比較する。 

       4箱を四つ出して散らし、並べて比較する。 

子どもの活動・・・提供の通り 

目的・・・・・・・漸次性による視覚の認識。1組ごとの違いを比べて観察する。 

         数学的頭脳の育成。それぞれの箱の寸法と相互作用の理解。 

 

  • まとめ

筆者がモンテッソーリ教師として子どもの活動を見る中で、 2歳半からの子どもは、感覚教具に非常に興味を示します。

マリア・モンテッソーリは幼児期一番感覚器官が鋭敏になり、それらを整理しようとする。と述べていますが、まさにその通りです。

例えば生活の中に茶色の階段があった、とします。大人は、これらを運び並べたくなるでしょうか?

大人には興味が湧かないでしょうし、ただの茶色の棒にしか映らないでしょう。しかし、子どもは自ら喜んで茶色の階段を運び並べます。これを何度も何度も繰り返します。

そうすることにより、か「太い細い」という視覚器官を鋭敏にさせるのです。茶色の階段は木製で出来ているので重さも体感できます。

太い棒ほど重くなり、2歳半の子どもには運ぶことが困難ですが、それでも子どもは運びます。 大人は重いものをなるべく運びませんよね。子どもは自らの成長のためには、困難なことも厭いません。 

 色付き円柱は前回お伝えした、はめこみ円柱と異なり、つまみがなく木枠もありません。 

 対象年齢が4歳半になっているのは、美的感覚や手先の洗練がある程度なされた子どもにのみ扱うことが可能だからです。

4歳半の子どもは、美しく並べることに喜びを見出す時期でもあります。

今まで感覚教具で習得をしてきた順番に並べる。ということを発揮し美しく並べます。 

 上記に挙げた以外にも多くの感覚教具があります。素晴らしい感覚教具の世界に興味がありましたら、モンテッソーリ教育施設への門を叩いてみましょう。 

 

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