幼児モンテッソーリの感覚教育 前編
2020.09.10 モンテッソーリ教育人間の感覚器官は五感に分けられます。
幼児期は、この五感を最大限に活用し、その各器官を発達させようと自ら努力をします。
モンテッソーリ教育では、感覚器官を強化することにより感覚から概念へという感覚教育を行います。
3歳~6歳の感覚器官が最も発達をする時期に感覚教育を行うことにより、大人になってからの知的生活をより優れたものにします。
逆に、感覚の洗練を幼児期に怠れば、大人になった際の知的生活は「いびつ」になるとマリア・モンテッソーリは言っています。
感覚教育のプログラム
視覚・・・・はめこみ円柱、桃色の塔、茶色の階段、赤い棒、色付き円柱、二項式、三項式
色板、幾何タンス、構成三角形、葉のタンス、幾何図形重ね
ピタゴラスのカード並べ
触覚・・・・触覚板、触覚板合わせ、布合わせ、重量板、穀物のより分け、ひみつ袋
幾何立体の籠、温覚板、温覚瓶
聴覚・・・・雑音筒、音感ベル
味覚・・・・味覚瓶
嗅覚・・・・嗅覚筒
プログラムの実際
教具・・・・・木製自然色のはめこみ台に10個ずつのつまみ付き円柱がはめこまれている。
4組の円柱は、それぞれ次元の異なる漸次性を持っている。
- 高さが同じで直径が漸次する円柱
- 直径と高さが共に漸増していく円柱
- 高さが漸減し直径が漸増していく円柱
- 同じ直径を持っている高さが漸増している円柱
提供法・・・最初は①のはめこめ円柱で提供をする。
子どもを招き、円柱台の持ち方を示す。
右手親指、人差し指、中指で円柱のつまみ方を示す。
円柱を抜き出し、混ぜる。
一番細い円柱をはじめに元の穴にはめる。
残りの円柱をはめていく。
子どもの活動・・・提供通り、一組ずつはめる。
- のはめこみ円柱の次は②が望ましい。
目的・・・・・・視覚による寸法の識別、書くための準備、観察力、集中力、論理的思考、
数学的頭脳の育成
教具・・・・・木製桃色10個の立方体で一辺が1センチより10センチまで漸次する。
1からスタートして2×3=8、次は27。最後は30までいくサイズを持つ。
提供法・・・・じゅうたんの上に小さい順に一つずつ中心を右手でつまんで運ぶ。散らして
置く。
- 最大の立方体を他から離して置く。
- 残った中から次のものを選び下の立方体の中央に注意深く積む。
- いつも残りの中から下の立方体に一番近いものを選ばせる。
- 積み終えた塔を上部と側面からよく見る。
- 立方体を一個ずつ崩し、じゅうたんの上に散らし一番大きな立方体から
元へ戻す。
子どもの活動・・・子どもが要求する限り、提供の通りに繰り返す。
目的・・・・・・・寸法の漸次性を視覚で判断する。意識的運動、数学的頭脳の育成
美的感覚を養う。
まとめ
上に挙げた感覚教具は、視覚によるものです。
その他にも五感に刺激を与える教具が複数あります。
子どもは、教具を通して、感覚器官を鋭敏にさせます。そして、これから学ぶべき知的活動の糧とします。
人間は知性を持つ唯一の哺乳類でありますから、知性が生きる源となります。
モンテッソーリ教育で育つ子供たちは、感覚器官を働かせて、物事を整理する力、漸次性など、細かい差異を発見する力を身につけ、大人になるのです。
感覚教具の中に「二項式」「三項式」という教具があります。
これは後に数学で学ぶ二項式と三項式が立体のパズルになった教具です。
まさに、幼児期に二項式と三項式を感覚で体得し、後に式として整理づけることが可能な教具です。こうして子供は後の学びを整理づけていくのです。
感覚器官に働きをかける教具を持つのもモンテッソーリ教育のみです。
これで、幼児期に、モンテッソーリ教育に触れることのすばらしさを理解頂けると幸いです。