【子どもとメディア・第2弾】どうやって付き合う?子どもとメディア
2020.09.09 赤ちゃんのあれこれ今回は、子どもとメディアの第2弾です。メディアの子どもへの影響とメディアとどのように付き合っていけばいいのかを考えていきましょう。
1. 子どもへの影響
年齢の低い子どもに動画やテレビを見せることによる影響を説明します。
眼球の運動はなめらかに見る動きと、左右をパッと見る動きに分けられます。この両方の動きが悪い場合は、音読がうまくできなかったり、黒板の字を書き写せなかったりなどの困ったことが出てきます。文章を読むときは一つ一つの字を読んいるのではなく、5文字ほどをパッと見て、おおよその意味を捉えながら読んでいるのです。
動画やテレビなどでは、画面にピントが合い、眼球運動がほとんどなくても動画を捉えることができます。 このときは、眼球運動が休止状態なのです。でも、眼球はよく動くことで鍛えられていくのです。外遊びなどの広い空間で遊ぶことによって、色々なものが色々な距離にあり動いている状態です。 ベビーカーに乗って移り変わる景色を見るだけでも、子どもにとっては目の運動になります。
スマートフォン使用時の視距離は平均20cmです。紙媒体の平均30cmと比較すると短いことが報告されています。正常者でも20cmで見ることは、30cmと比較してピントを合わせる努力が1.7倍必要で目が疲れやすいとされています。目の発達が途中の乳幼児では、よりその影響が出やすいと考えた方が良いでしょう。
子どもは周囲の環境を読み取る力があります。例えば、親が子どもの訴えに耳をかさずに、 スマートフォンを見続けている場合、それが何度も重なると訴えても無駄だと思い、自分の要求に応えてもらえないことを学習します。期待できないと思うと、もう訴えることをしなくなるのです。人との関係性を諦めてしまうことになり、将来の対人関係にも影響を及ぼす可能性があります。
子どもが一方的に流れる動画やテレビを見続けていると、自分以外の人とコミュニケーションを取らないため、コミュニケーション能力は育ちにくくなります。コミュニケーション能力は、人との言葉や表情、目を合わせるなどのふれあいの中で育まれていく能力なので、動画の時間でふれあいの時間が減ってしまうのはもったいないですね。
2. メディアとどのように付き合うか
メディアとどのように付き合っていくのか考えてみましょう。
① 関わりを持ちながら見る
一緒に動画などのメディアを見て、「おいしそうだね」「これは何色かな」と問いかけたり、話のきっかけを作ったりしながら見ると良いでしょう。でも、そうやって関わりを持ちながら見ることができないときもあるでしょう。電車や病院の中でぐずると親は困ってしまいますね。電車からの景色を見たり、病院の中にあるものを見て話したりしてご機嫌がよくなれば、きっと親もむやみに動画を見せることが少ないと思います。でも、いざというときに動画があると注目してくれるため、助かりますよね。 一時的に利用する分には、それほど神経質にならなくても良いでしょう。
② 時間を決めて利用する
2歳以下の子どもには、動画を見せないほうが良いといわれています。とはいっても、家庭の環境によって見せることもあるかもしれません。時間を決めてだらだらと見せないように工夫してみましょう。
③ 五感を使った遊びが良い
子どもは五感を使った遊びをする中で、様々な身体の機能や心が発達していきます。外で身体を動かすことは、季節を感じたり人と関わったり良い刺激がたくさんあります。 家の中でも家族とコミュニケーションを取りながら遊ぶことは子どもにとって非常に有意義です。少しでもこのような時間が持てるように工夫してみてくださいね。
まとめ
発達途中の子どもには、メディアの利用が多かったり一人で動画を見ることが多かったりする場合、感情の表出もなく一方的な情報の受け取りとなり、あまりよい影響はありません。テレビや動画を一切見せてはいけないということではありません。この記事が親も子どもも家庭でのメディアの利用について、見直す機会になればいいなと思います。
【参考文献】
日本小児科医会 「子どもとメディア委員会」
https://www.jpa-web.org/about/organization_chart/cm_committee.html