幼児モンテッソーリの日常生活 後編
2020.09.03 モンテッソーリ教育②幼児モンテッソーリの日常生活
前回は、幼児モンテッソーリ日常生活の具体的な内容を執筆しました。
モンテッソーリの日常生活は、数多くの提供内容があります。
今回も日常生活の提供法をご紹介します。
☆「着衣枠」
着意枠とは、マリア・モンテッソーリの考案したもので、木製の枠に布を取り付け、左右が連結出来るものです。ボタン、ファスナー、尾錠、安全ピン、編み上げ、カギホック、靴の紐、靴のボタン、蝶結び があります。
着意枠は、子どもが衣服を自分で着たい!と関心を示す2歳半~4歳頃が適齢年齢ですが、蝶結びや編み上げ、靴の紐、尾錠は5歳が良いでしょう。蝶結びは小学校受験でも有効なので、受験塾の現場でも使用されています。
用具・・・・・着意枠ボタン
提供法・・・・枠を正しく置く。
- 左手で布を持つ
- 右手でボタンをつまみ、押し入れる
- 左手で受けて引き抜く。下まで同様に二枚を外す。
- 右手で布を持つ
- 左手でボタンを穴にくぐらせる
- 右手で引き出す
子どもの活動・・・一教師と同じようにする
興味点・・・・・・自分の衣服や靴に関心を持つ
目的・・・・・・・独立心、集中力、意識的運動
対象年齢・・・3歳~5歳
用具・・・・・裁縫箱、縫う紙、針と針刺し、糸
提供法・・・・用具を机に運ぶ
糸を用意する
針に糸を通す
玉結びをする
糸を裏から表に出し、ステッチを指導する
子どもの活動・・・教師がしばらくステッチをしたあとに交代する。針の始末を最初は教師が行う。
興味点・・・・・・玉結びを作る、下絵に従って縫う、上達後に刺しゅうを行う
目的・・・・・・・独立心、集中力、手先の意識的運動
対象年齢・・・2歳半~5歳
用具・・・・・のり、のりの筆、スポンジ、手拭き、台紙と図形
提供法・・・・用具を机に運ぶ
一枚の台紙を選び、それと同じ図形を探す
図形を裏返す
のりを図形につける
図形を裏返しにして貼る
スポンジで押さえる
子どもの活動・・・教師の仕事を数枚見てから同じように行う。
興味点・・・・・・様々な図形を扱うので図形に興味を持つ
目的・・・・・・・集中力、独立心、手先の洗練
対象年齢・・・・2歳半~4歳半
用具・・・・・・小さいお盆に注ぎ口付き把手付きで子どもサイズの割れる可能性のある(物を落として割れる経験をすることで、より注意深く物を扱うことができます)容器二個、砂や米
提供法・・・・・右側の容器が満ちているのを確かめてから把手をもって静かに持ち上げる
少し止まる
右側の容器に近づけ、傾けながら米を注ぐ
終わったら、お盆を一周回して同じように続ける
米などがこぼれたら一粒ずつ拾って容器に入れる
子どもの活動・・・提供通りに行う
興味点・・・・・・容器の口をつけない、中身の移る音、空の容器を確かめる
目的・・・・・・・指先の洗練、正確な筋肉の動き、一連の動作の順序、独立心、集中力
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まとめ
モンテッソーリの日常生活は、 無駄のない動き、洗練された丁寧な動きを幼児期に身に着けることに非常に役立ちます。上記の仕事にはそれぞれやり方と順序があります。
それらを遵守したうえで、子どもは仕事を行います。
もっと自由にやらせては?と賛否両論もありますが、モンテッソーリ教育では規律と秩序が備わったうえでの自由を保障する教育なので、仕事のやりかたを遵守することは必然なのです。 「米注ぎ、砂注ぎ」では、こぼした米などを一粒ずつ拾います。もちろん砂注ぎでは、お盆を傾けてまとめて戻してもよいですが。
米を一粒ずつ拾うことで、洗練された丁寧な動きを獲得する目的があります。
「のりはり」ではのりを図形に付けるのに筆を使用します。筆は上から下へと滑らせます。
そうした一つずつの動きが品性も養うのです。
成人したあとに、これらの動きを獲得することは困難です。大人になってからでは遅いのです。秩序の敏感期にある子供だからこそ、こうした丁寧な動きを喜んで行うことができるのです。