赤ちゃんはどんな感情があるの?
2020.08.19 赤ちゃんのあれこれ赤ちゃんを見てると、あまり反応がなかったり、表情を見てもよくわからなかったりしますよね。
「赤ちゃんってどこまでわかっているんですか?」と聞かれることがよくあります。
「うちの子は自己主張がはっきりしています」といわれる方もいます。
今回は、赤ちゃんは、いったい何をどこまで感じているか、赤ちゃんの自分についての感情「自我感情」についてお話します。
1. 初めは「快ー不快」の感情
私達大人は、自分を取り巻く環境の中で、愛情や悲しみ、怒りを感じたり、共感したりしますね。
これを感情や情動といいます。
これは、 「快ー不快」「安心ー不安」という感情がもとになっています。
例えば、 「快ー不快」の感情は、 「おむつが濡れて気持ち悪い」というのが 「不快の感情」、 「おむつを変えてもらって気持ちいい」 というのが「快の感情」 です。
赤ちゃんは、発達と共に自分と他の人との関わりの中で、社会的な感情を発達させていきます。
社会的な感情とは、「愛情」「悲しみ」「怒り」「共感」「自我感情」です。特に自分に関係する感情を「自我感情」といいます。
2. 赤ちゃんも自己主張する!
人間は生まれつき、自分を肯定する傾向があります。
赤ちゃんも積極的に周りと関わろうとして、自分の位置をはっきりとさせていきます。
1歳くらいになると、自分のやりたいこと、やりたくないこと、ほしいものなど自分の意思や願望を自己主張するようになってきます。
親が自分に言ったり、禁止したりすることに対して、意地になって自分の意思を通そうと「強情」が現れます。
例えば、ご飯を食べたいけど、うまく口に運べない、うまく食べられないといった状況で、食べさせてあげようとすると嫌がるという状態です。
3. 強情から自尊感情へ
意固地で強情な感情は、自分の行動に対する思い入れが含まれています。ときには、他の人の言葉や行動を自分を傷つけることだと捉えます。
自分を否定されたり、禁止されたことが、自分の意思ではない場合、それに対抗します。
すでに誇りや自尊感情をが芽生えていると、馬鹿にされたり否定されたりすると、屈辱的に感じて泣いて怒るのです。
反対に、肯定されたり褒められたりすると誇らしげに感じて、その行動を起こします。嬉しそうな表情に出ることもあります。 これを「自己誇示」といいます。
4. 自我感情の発達
自我感情の発達は、 「自己肯定」→「自己主張」→「誇り・自尊感情」→「強情」→「名誉心・自己誇示」と進んでいきます。
およそ下記の年齢の頃に出てくることが多いでしょう。
自己肯定 | 0歳〜 |
自己主張 | 生後6ヶ月頃〜 |
誇り・自尊感情 | 1歳前〜 |
強情 | 1歳〜 |
名誉心・自己誇示 | 2歳〜 |
5. 他者に向けられた感情
愛情の出発点は母親との愛着に始まります。母親への愛情は、優しくしてほしい、かまってほしいという欲求(利己的なもの)があります。
それと同時に、母親からの愛情を感じて自分の喜びを母親も一緒に喜んでくれていると感じることも含まれています。
母親への愛情は、次第に他の家族への愛情へ広がっていき、友達への好意、他者に対する優しさや思いやりという感情(利他的なもの)に発展していきます。
愛情 | 利己的なもの | 憎しみ | 愛情を期待する人に失望させられる |
羨望・妬み | 自尊心が危ぶまれる・競争心 | ||
利他的なもの | いたわり | 優しさ・思いやり | |
同情 | 他者への苦しみや悲しみを感じ取って慰める |
同情は、2歳くらいの子どもでもすでに持っている感情です。
例えば、お母さんが疲れていたり、体調が悪かったりするときに、子どもが「大丈夫?」「どこがいたいの?よしよししてあげる」などと言ってくれることはありませんか。
その行動は、子ども自身がこれまで親にされてきたことを真似ていることが多いですね。
まとめ
赤ちゃんは、初めは「快ー不快」の感情から始まり、だんだんと怒りや欲求などの意思表示をするようになり、愛情を通していたわりや同情といった感情を発達させていくのですね。
その根本にあるのは、人との関わりです。特に初めは母親といわれています。
そんなことをいわれると、お母さんたちは緊張してしまいますね。
もちろん、お父さん、きょうだい、祖父母など子どもに関わるすべての家族の関わりが大切です。一人の人間として子どもを見守り、接していくことができれば、それほど特別なことではありませんのでご安心を。
【参考文献】
「図解雑学 発達心理学」山下富美代 編著 ナツメ社